10年後

私は,なぜか人からもらった手紙がまったく捨てられずに,広告の端切れに走り書きしたようなメモまで全部取ってある.

年に1回くらい,それを出しては懐古に浸るときがある.

最近は10年くらい前の手紙たちを読み返してみた.

もう,何だか今の自分とは離れた誰か別の人を見ているような気持ちになったな.
時間が経つほどに,こういう風になるのかなぁ.

別に,悲しいとかそういうんじゃなかったけれど.
今の自分の生活や環境と,とてもかけ離れているもんだから,本当に私なんだろうかと思った.
友達であったり,家族であったり,好きな人であったり.
それらの手紙の差出人は多岐に渡る.

その内容を読み返してみると,覚えていない出来事は満載.
そうね,こんなこともあったよね.
文章から,その出来事やおかれている状況が映像となってよみがえる.

こういうのも良いな.

そう思った.

今の状況を,10年後同じように振り返ってもこんな気持ちにはならないかもなぁ.

ふと,そう,思った.